Founder’s Story

共同創業者の対談

2010年、アカツキは
「100年以上続く偉大な会社になろう」と、
塩田元規と香田哲朗の二人によって
共同創業されました。

これまで「最高の組織が最高の事業」を
つくるという考えのもと、
アカツキはビジョンとカルチャーを大切に
進化を続けて来ました。

そして、2021年の春。
アカツキの新しいミッション・コアバリューを
発表するにあたり、
アカツキのビジョン、ミッション、カルチャー
について、共同創業者の二人が語り合いました。

創業の魂を込めた「アカツキハート」

香田:2020年6月に元規から僕にCEOのバトンが渡されて、アカツキはそこから経営体制と事業方針を大きく進化させてきたんだよね。その流れを受けて、ミッションもより事業に寄り添うものに変えていきたくて、こんな風に進化させることにしたんだ。

※ミッション、コアバリューへはこちら

それでこのタイミングで、元規とビジョン・ミッションをテーマにアカツキを振り返ってみたいと思ったんだ。

創業して4年経った時、アカツキの哲学をまとめた「アカツキハート」という冊子を作って、「感情を報酬に発展する社会」という社会ビジョンもその中で書いたよね。8年目には「感情報酬」を「ハートドリブン」という表現にアップデートした。

表現は進化してきてるけど、創業の原点はアカツキの哲学「アカツキハート」にあると思う。「アカツキハート」はソニーの「設立趣意書」みたいなものじゃないかな。

塩田:どんどん深まるからね。今日「アカツキハート」久しぶりに読んで、やっとわかった箇所もあったよ。

香田:進化の途中で複合的、包括的なものになったり、粒度も進化していくから、言葉自体は進化していくのが自然なことだと思う。だから、キャッチコピーみたいなものをみんなで守ろうとするんじゃなくて、実行するプロセスや熱量がすごく大事。進化を前提にしたコアさえあれば、この先の10年も続いていけると思う。

アカツキという船から離れて、見えてきたもの

香田:元規はアカツキの代表を退任したけど、その後、どんな感じなの?

塩田:前は必死でDoしてたところがあるんだけど、実はアカツキの代表をおりた後の方が大変だったんだ。一人になっていく感じで、孤独感がすごくあって。やっと受け入れられるようになってきたかな。一番の変化は、プロセスの途中の痛みとか、苦しみとか、悲しみとか、孤独感とかもすごく素晴らしいなって思えるようになったこと。

今こうして「アカツキハート」を読み返してみると、この当時の塩田元規はすごく頑張っているなという感じ。肩に力入っていて、頑張って振り絞っている感じ。この頃、すごく必死だったから、書いてあることは本質的なんだけど、言葉には「べき」がついている感じがするんだよね。

アカツキから少し離れてからの方が、アカツキを見ていて素敵だなと思う度合いがむっちゃ増してる。今回、こうしてミッションを進化させることも、すごくいいなって思ったよ。

二度と作れない、熱くて濃い「ファーストアルバム」

香田:最近は企業カルチャーが大事だと誰もが言うけど、アカツキが企業哲学として「アカツキハート」にまとめた当時は、周囲からちょっと浮いているような感じだったよね。

塩田:当時のベンチャーにしては、めずらしかったんだろうね。

香田:「アカツキハート」には、最近言われている「風の時代」のようなことも書かれてる。自分たちが言っていることが当たり前の時代になってきたってことなんじゃないかな。

アカツキを創業したのは元規が27歳で、僕が25歳の時。初期衝動的というか、その時しか作れない、ファーストアルバムみたいなものなのかもしれないね。二人の27年分とか25年分のいろんなものを捏ねて作り出してる感じが、組織だったり、文化だったり、全部においてあったなと思う。

もし、もう一度ゼロから起業しようとしたら、今なら知識と経験があるから合理的でスマートなものは作れるけど、最初にしかできない無駄も含めた熱さがあるなと思うんだよね。

   

塩田:この本気で作ったファーストアルバムに「たまこめ※」してるよね。そういう感覚、俺もあるよ。ファーストアルバムとして、全部出し切った感じはある。この粗削りな感じがいいじゃないって思うしね。

※たまこめ:魂を込める、略して「たまこめ」。

「ハートドリブン」という言葉そのものにしがみつかない

香田:アカツキで「ハートドリブン」って言葉を使っていることは多いんだけど、元規自身が言葉をよく変えてきたよね。

塩田:言葉ってその時々、歌詞と一緒でどこに反応するかで違うものだから。変化があることの方が大事だなって思う。フィックスされた「ハートドリブン」っていうのがあると、それを目指してしまって人間の本質を失われていくみたいな感じすごいあるなと思って。だから、動的でいいじゃんっていう、軽やかなのがすごい良いなと思ってる。

自分自身でも「ハートドリブン」は、その時その時で変化してきた気がしている。今は結局、「ハートドリブン」は自分への愛っていうことだと思っているんだよね。

自分を幸せにするためにだけ生きることで愛が溢れてきて、その愛で周囲の人も幸せになっていく順番なんだよね。自分のハートをひたすら大事にするっていう事を、その大事にできない自分も含めて、大事にしてあげる。自分のために、自分の喜びがあるから動き出すっていうのが、「ハートドリブン」なんだと思う。

「創業者のアカツキ」ではなく「一人ひとりのアカツキ」

塩田:以前は「アカツキ」と「ハートドリブン」を必死で伝えようとしていたけど、結局、一人ひとりが自分の中のアカツキを感じ続けて、自分がいいと思う方向に動いていけば、それでいいんじゃないかなっていう感じがしている。

香田:元規と「ハートドリブン」の話をした時にさ、「理解はできるけど、俺はなんかわかんないんだよね」って話もしたよね。

塩田:うん、よくしてたね。

香田:「ハートドリブン」を掲げて頑張っている元規に共感する人もいれば、理解はするけど共感は別、という人もいる。

塩田:俺はてっちゃんみたいに生きれたら楽だな、うらやましいと思う気持ちがあったの。俺は少しでも良く、少しでも前にと努力するタイプ。今はその歩いてきた道が素晴らしいなって思うけど、苦しいと思って歩いてきた道でもあったんだよね。

もしかしたら、アカツキのメンバーの中にも俺みたいに頑張って、人からすごいって言われないと不安に思う人もいるかもしれない。そういう人がてっちゃんみたいな人を見ると、自由でいいなと思うけど、努力して苦しんでる道は自分で選んでいるってことなんだよね。

香田:自分も含めて、多くの人は自分で言っていることも自分でわかってないのが普通だと思う。やりたいと思って始めたこともやってみたら違うなと思う事もたくさんあるし。だから、人の言っていることをいきなり信用しすぎない。

あとは反対を経験しないとわからない事もあったりする。たとえばリモートワークやりたいって言ってても、いざリモートワークになったらやっぱりみんなに会いたい、みたいなこともある。だから、様子をみて、反射、反応をしない。流れが決まってから変えれば、自然と物事は進む。その流れが起きるまでは流れを眺めるっていうのも、すごく大事だなって思ってる。

自ら成長しはじめたアカツキの、創業者の見守り方

塩田:アカツキを創業した時のことを思い出すと、人に例えると赤ちゃんからこども時代だったのかもしれないね。創業者である俺らが怪我をしないように気を付けて見ていた気がするんだけど、今のアカツキは成長期を迎えて自ら成長している。怪我をしそうでも親として見守れるか、が問われている感じ。

今のアカツキはいろんなプロセスを経験し、自分の足で立っていくフェーズ。俺は近くにいると、どうしても心配になっちゃう自分がいたから、アカツキから少し離れると決断したってところもある。てっちゃんがすごいなと思うところは、近くにいても見守れるところ。

香田:なるべく関与しすぎないように、とは思ってる。自分自身の役割としては、アカツキに関与しすぎるより、外でいろんな人にあって、おもしろいものを探す方が大事だと思ってる。だから、余白はすごく大事だよね。

塩田:アカツキから離れて、すごい狭い世界で生きてたって気づいた。前は経営の本ばかり読んでいたけど、今はほとんど読んでない。全然違う分野の人と話したり、違う場所で生きてきた人と話す方がおもしろいと気づいたんだよね。

パラダイムシフトのスイッチが入った2020年

香田:2020年はパラダイムシフトのスイッチが入った年。今までの生き方が変わることでビジネスが変わる時代。生き方が仕事だけでなく、エンタメにも反映されてくる。内面の絆みたいなものに共感する人が多くなっているよね。

塩田:エンタメってさ、潜在的にみんなが思っていることが具現化されたものだろうし、一番早く反映されるものだろうね。エンタメを通して今の状況を認知することもあるし。

これまでアカツキが「ハートドリブン」って言ってたことを、みんながそこを目指すように変わってきたなという感じ。たとえば「ハートドリブン」って考え方があって、感情が大事だよねっていうのを説得するんじゃなくて、自然とそうなってきている。

アカツキが今までやってきたこととか、普段やってるその当たり前がスペシャルだから。俺たちがアカツキを作ってきたことって、多分この新しい時代に向けて準備してきた部分って、あるんだと思うんだよね。だから、ここからどうなっていくか楽しみ。

香田:普通に無理せずに頑張ってたら、それが時代の追い風を受けるようになったという感じはあるよね。

ミッションとカルチャーへの共感は人それぞれでいい

香田:企業としては事業に紐づいたコアバリューで行動を規程する方がいいけれど、それとは別に人として大切なことってあると思うんだよね。それが哲学、つまり美意識だと思う。自分たちはこうありたいみたいな、美意識が反映されるもの。

こっちのやり方が得をするという考え方じゃなくて、こっちの方がかっこいいじゃんという考え方が。豊かな時代の社会への影響の与え方って、お金じゃなくてあり方というか、美意識で変えていくみたいなことだよね。

塩田:アカツキは事業を作るよりも企業を作ろうとして創業した会社。創業者の二人の美意識が今でも引き継がれているよね。でも、アカツキはその美意識の魂は大事にしつつも、固定しすぎずに進化させていくのが大事。

香田:そういう哲学、美意識がいろんな形として、ゲーム、IP、サービスの中でストーリーとかキャラクターになって、世の中に伝わっていくと、より広く分かりやすく伝わるよね。

採用もおそらく同じことで、根本的な価値観、美意識が同じ人を採用していると、短期では意見のすれ違いがあったとしても、全体的に見れば同じ世界観に近づいていくよね。

塩田:アカツキはカルチャーフィットじゃなくて、カルチャーアド。そもそも同じ人間なんてどこにも絶対いないから、違いのある人がアカツキに入ってくることでアカツキが進化していくことが素晴らしいことだよね。

時代の変化、起こっていることをコントロールしようとせずに、それをどう活かして進化していくかがこれからの会社なんだろうね。

香田:ミッションやカルチャーに対する距離感や共感も、アカツキで働くメンバーそれぞれでいいよね。

塩田:そうやって言えるっていうことは、哲朗はアカツキのメンバーをすごい信頼しているってことだよね。それができる哲朗は、自分自身の生き方を信頼してるから、周囲や変化に右往左往しない。

香田:それはあると思う。これからもアカツキは進化し続けていくから、時々こうして創業者同志で話をしていけたらいいね。

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